趣味嗜好と人間関係(パーソナルネットワーク)

Omar Lizardo. 2006. "How cultural tastes shape personal networks." American Sociological Review 71: 778-807.

文化的な趣味嗜好は各人の人間関係ネットワークにどのような影響を与えるか。

理論的背景

  • ブルデューの経済資本/社会資本/文化資本の議論 ・・・どれがネットワークと一番関わるか
  • ラノヴェッター以来の社会ネットワーク理論
    • 強い紐帯:親密な、閉じたネットワーク(友人の友人は、だいたい友人)
    • 弱い紐帯:疎な、開かれたネットワーク(友人の友人は、友人でない場合が多い)
  • ディマジオ(1987)*1の、文化的嗜好と社交性に関する議論

GSS(General Social Survey)2002のデータを使用して、「強い紐帯/弱い紐帯」と「インテリ文化/ポップカルチャー」の関係を検証している(ログリニア分析)。

結論:

  • 知識人の文化は強い紐帯につながる
  • ポップ・カルチャーは弱い紐帯につながる

知識人のカルチャー(クラシック音楽とか)の持つ閉鎖的・排他的性格、という話に結びつけているようだ。

気になる点は、因果の構造や方向(!?)をモデルの当てはまり度合い(BICなど)の比較から導出しているように見える点。これは最近のアメリ社会学のやり方なのかな?。いずれ詳細に検討する必要あり。

ちなみに論文は下記からダウンロード可能です。

http://www.nd.edu/~olizardo/pubs.html

*1:日本ではそこまで知られてなさそうだけど(たぶん)、アメリ社会学では屈指の知名度と影響力を誇る。