住民運動から市民運動へ?

道場親信,2006,「1960-70年代「市民運動」「住民運動」の歴史的位置;中断された「公共性」論議と運動史的文脈をつなぎ直すために」『社会学評論』57(2): 240-258.

抵抗・告発型の住民運動(地域限定)よりも、自治・参加型の市民運動のほうが新しい/優れている、or 住民運動が地域エゴを乗り越えて市民運動に到達する、といった(しばしば暗黙の)見方への批判。もともと住民運動市民運動を分断し、後者を推奨する「戦略」は、社会運動の激化への行政・産業側の対策として見出されたものだった。

著者が高く評価する宮崎省吾らの横浜新貨物線反対運動が、朝日ジャーナルの懸賞論文で「準優秀作」にとどまった際の講評が興味深い。

これらの人たちは、本当に平和の問題まで考えているかどうか、疑問がもたれました。たとえば横浜新貨物線は米軍に使用される予定なのに、その指摘がないことは、運動に地域エゴイズムを残しているのではないかとの疑念が最後まで残り、準優秀作となりました。

貨物線がいやで運動してるのに、世界平和のことまで考えないといけないって言われるのは、たしかになんかつらいなあ。

この号の特集「社会運動の今日的可能性」は、あまりにも正反対!な立場の論文が並んでいて(特に前半の3本)、なかなかに面白い。