税金をいつの間にか増やす方法
一度も増税に関する議論をしないまま、税金をいつの間にか増やす方法。
その1。税制の合理化や地方分権という題目のもと、増税になるような制度改革を行った上で、「移行措置」や「調整」を設けて、とりあえずの税額は変わらないことにする。この段階では政治家が前面に出て、制度改革のよさや、税額が変わらないことをアピールする。
市民税・県民税が増えても、所得税が減るため、納税者の負担は変わりません。
この税源移譲に伴い、個々の納税者の負担が極力変わらないようにするため、所得税の税率構造の改正や、個人住民税の調整控除、住宅ローン控除制度の創設などにより調整をおこないます。(強調は引用者)
http://www.city.funabashi.chiba.jp/shiminzei/shiminzei/kaisei1801.htm
その2。「移行措置」や「減税」、「調整」はもともと一時的なものだったのだから、予定どおり取り払いますね、でも制度は何も変わりませんよ、と言って、減税措置をなくす。この段階では、行政ががんばって広報して、政治家はあまり関わらない。
最近だと、定率減税の撤廃がこれに当たるような。かつては定率減税も恒久的措置と言われていた気がするぞ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%9A%E7%8E%87%E6%B8%9B%E7%A8%8E
とは言っても、今の景気動向や今後の社会情勢を考えると、ある程度の増税はやむをえないのだが、こういうやり方はなんかちょっとなあ。そして、こうやって増税しておきながら、他方で高所得者にかかる税金(株関連とか相続税とか)は減らそうとするのは、あんまり納得いかないのだが。
科学技術社会論(STS)研究者の分布図
科学社会学、STSでよく引用される研究者の続き(みたいなもの)。
科学技術社会論(STS)・科学社会学のトップジャーナルにおいて、どの研究者とどの研究者が一緒に引用されることが多いかを調べる。似たような研究ほど同時に引用されることが多いと考えられるから、これを調べることで、いまどのような研究潮流があるのか、大まかに見て取ることができるはず。
とはいっても、あんまり真剣にやっていないので、参考程度に。
元データは前回記事と同じ。Social Studies of ScienceとScience, Technology & Human Valuesから(1995〜2006年末ごろ)。上位60人(被引用回数32回以上)を分析対象とする。
研究者同士の距離は以下の式で測る。
(研究者Aの被引用回数*研究者Bの被引用回数)^0.5/(AとBが同時に引用された回数+0.2)
0.2は、距離が無限大にならないように、かといって逆転現象も生じないように適当に放り込んだ(このへんがいい加減)。
で、こうして得られた距離行列を、多次元尺度法を用いて分析して、結果を2次元上にプロットする。分析にはSPSSを用いて、結果をExcelを使ってプロットした。
多次元尺度法については下記サイトを参考にした(だけ。なので、ここで使うのが妥当かどうか自信なし)*1。
http://www.interq.or.jp/pluto/tunes/scale.html
さて、分析結果だが、おおむね以下の5グループに分けられた。
- 科学哲学、認識論、エスノメソドロジー(イギリス・フランス系?)
- 科学知識の社会学(SSK)、アクターネットワーク理論
- 科学技術の歴史的・社会学的研究
- リスク社会論
- 科学社会学の古典的文献(アメリカ系?)
抽象的な認識論的研究(1)と、具体的な対象を取り上げた研究(3)の間に、両者をつなぐ理論(2)が存在している、というのが中心的な構造。
そして、こうした中心的な構造とはやや離れて、リスク社会論(4)が存在している。リスク社会論は、どちらかと言えば具体的研究(3)と距離が近い。
科学社会学の古典(マートン、バーンズ)については、認識論系とアメリカ系の両方に引用されるから、真ん中あたりに来ている。Greg Myers(Writing Biology: Texts in the Social Construction of Scientific Knowledge)も同様か。
ちなみに、こういう分析のことを科学計量学の分野では「共引用分析」と呼ぶらしい。
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初めから調べておけばよかったのだが、この領域では以下の2つで距離を測るのが主流らしい。で、その結果を、クラスター分析や多次元尺度法にかける(70頁)。コサイン関数をちょっと(非論理的に)いじくったのが、上で私が使った分析法ですな。
Jaccard係数
コサイン関数
*1:基本的に、これも主成分分析・因子分析・コレスポンデンス分析と同じ系列に属するものらしいので、そのうちまとめて数学的なことを勉強する予定(いつになるやら)。