テオドル・ベスター『築地』

築地作者: テオドルベスター,Theodore C. Bestor,和波雅子,福岡伸一出版社/メーカー: 木楽舎発売日: 2007/03/01メディア: 単行本 クリック: 57回この商品を含むブログ (27件) を見る非常におもしろい。米国人の人類学者が、築地の魚市場でフィールドワークを…

トウガラシ三題(インドカレー、タバスコ、痴漢撃退)

アマール・ナージ『トウガラシの文化誌』1997年, 晶文社.トウガラシの文化誌作者: アマールナージ,Amal Naj,林真理,山本紀夫,奥田祐子出版社/メーカー: 晶文社発売日: 1997/12メディア: 単行本 クリック: 14回この商品を含むブログ (33件) を見る一般向けの…

カズオ・イシグロと「信頼できない語り手」

小説の登場人物だって、うそをつくことはある。古くは「かちかち山」がウソとウソの応酬、オンパレードである。タヌキが老夫婦にウソをついてひどい目にあわせ、その仕返しにウサギがタヌキにウソの3連発をおみまいして、最後は泥船に乗せて沈めてしまう。ht…

ガルシア・マルケスと内面なき小説

ガルシア・マルケスという作家が好きである。以下は、この作家の本をぜひ読んでみるべし、というオススメ文章。ガルシア・マルケスは1928年コロンビア生まれ。当初はジャーナリストをやりながら小説を書いていたが、1967年に発表した『百年の孤独』が世界的…

シロイヌナズナはナズナではない

変わる植物学広がる植物学―モデル植物の誕生作者: 塚谷裕一出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2006/10/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (7件) を見る分子生物学によって植物学・植物研究はどう変わったか。本書は、シ…

玉野和志『東京のローカル・コミュニティ』

東京のローカル・コミュニティ―ある町の物語一九〇〇‐八〇作者: 玉野和志出版社/メーカー: 東京大学出版会発売日: 2005/04メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (12件) を見る第1章 東京の発展と「この町」の成立 第2章 町内社会の成立と展…

未来予測は専門家の仕事?市場の仕事?

「みんなの意見」は案外正しい作者: ジェームズ・スロウィッキー,小高尚子出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2006/01/31メディア: 単行本購入: 13人 クリック: 216回この商品を含むブログ (264件) を見るゴールトンの観察した、牛肉の重量当てコンテスト。80…

バカとソクラテスとビジネス本

バカの壁 (新潮新書)作者: 養老孟司出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/04/10メディア: 新書購入: 13人 クリック: 371回この商品を含むブログ (587件) を見る前に読んで、放っておいたんだけど、takemitaさんにつられて。http://d.hatena.ne.jp/takemita/2…

フィッシャーの顕微鏡

まずは、下の引用を見ていただこう。 完全ではないもののほぼ焦点が合い、しかも焦点調節以外の点ではくっきり像を結ぶように調整された顕微鏡を考えてほしい。もしこの顕微鏡の状態をでたらめに変化させたとき、さらに焦点が合って像の質が全般的に向上する…

なぜ経済発展はヨーロッパで始まり、他の地域で始まらなかったのか

ヨーロッパの奇跡―環境・経済・地政の比較史作者: E.L.ジョーンズ,E.L. Jones,安元稔,脇村孝平出版社/メーカー: 名古屋大学出版会発売日: 2000/10/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 60回この商品を含むブログ (9件) を見るなぜ近代化(経済発展)はヨ…

百姓から見た戦国大名

百姓から見た戦国大名 (ちくま新書)作者: 黒田基樹出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/09/01メディア: 新書購入: 10人 クリック: 54回この商品を含むブログ (53件) を見る面白い。戦国時代を、重層的な支配関係(村、荘園領主、守護、国衆…)・自力救済…

ウェーバーと「事実をして語らしめる」

前にGoogleの政治性について書いたときに、マックス・ヴェーバーの「事実をして語らしめる」を引いて書いたら*1、それ以来、検索で来る方がたくさんいらっしゃいます。で、さっそくGoogleで検索してみたら、たしかにネット上じゃあまり見つからない。という…

Googleはメディア+広告代理店

以前に書いたGoogleネタの補足。グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)作者: 佐々木俊尚出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2006/04/01メディア: 新書購入: 4人 クリック: 447回この商品を含むブログ (543件) を見るこの本の概要は、 いま…

パーソンズのマッカーシズム論と現代日本のナショナリズム

パーソンズ(Talcott Parsons),「アメリカにおける社会的緊張」とその「追記」 『政治と社会構造 上』1969=1973 新道正道監訳,誠信書房 所収まず、マッカーシズムの定義をwikipediaから抜粋。 マッカーシズム(McCarthyism)とは、1950年2月にアメリカ合衆…

アマチュアからはアマチュアしか育たない(2):社会学的考察

それにしても、このモデルはなかなか社会学的に興味深い。話は音楽から離れるのだが、「アマチュアからはアマチュアしか育たない」と言えるのは、どういう性質を持った分野なんだろうね。たとえば野球とかは、優秀な指導者が優秀な選手を生むという面もある…

アマチュアからはアマチュアしか育たない

チャイコフスキー・コンクール―ピアニストが聴く現代 (中公文庫)作者: 中村紘子出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1991/11/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 9回この商品を含むブログ (17件) を見る中村氏は有名なピアニスト。この本は、彼女がクラシ…

暗黒の中世と万能の天才

舌を出したアインシュタイン―ひとり歩きした科学の神話作者: スヴェンオルトリ,ニコラヴィトゥコフスキー,Sven Ortoli,Nicolas Witkowski,深川洋一出版社/メーカー: 丸善発売日: 1999/09メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (1件) を見るこ…

事故がなくても渋滞が起きるのはなぜか?

渋滞学 (新潮選書)作者: 西成活裕出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/09/21メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 100回この商品を含むブログ (147件) を見るおもしろい。自然渋滞はなぜ起こるのか。いつも駅のエスカレーターを歩いて上がりながら、みんな…

クラシックとモダン・ジャズ

西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)作者: 岡田暁生出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2005/10/01メディア: 新書購入: 25人 クリック: 169回この商品を含むブログ (217件) を見るたしかに非常に面白い。西洋クラシック音楽の歴史を、一貫したリ…

日本の食と農

日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)作者: 神門善久出版社/メーカー: NTT出版発売日: 2006/06/24メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 129回この商品を含むブログ (48件) を見るこれは、あまりぱっとしない(?)題名に反して、非常に刺激的…

ロンボルグ『環境危機をあおってはいけない』

環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態作者: ビョルン・ロンボルグ,山形浩生出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2003/06/27メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 174回この商品を含むブログ (100件) を見る 第1部 環境危機の「よく聞くお話」…

起こりそうにないことも、たまには起こる

偶然性・アイロニー・連帯―リベラル・ユートピアの可能性作者: リチャードローティ,Richard Rorty,斎藤純一,大川正彦,山岡龍一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/10/26メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 88回この商品を含むブログ (79件) を見る数年…

統計データから因果の構造を明らかにする?

社会の見方、測り方―計量社会学への招待作者: 数理社会学会,与謝野有紀,高田洋,安田雪,栗田宣義,間淵領吾出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2006/07/01メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 42回この商品を含むブログ (15件) を見る中野康人「2-7 3つの変数…

考古学と美術鑑定

考古学はどう検証したか―考古学・人類学と社会作者: 春成秀爾出版社/メーカー: 学生社発売日: 2006/09/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (7件) を見る日本の考古学を揺るがしてきた捏造・誤認問題の数々を取り上げ、それらを再検証して…

カート・ヴォネガット

母なる夜 (白水社世界の文学)作者: カート・ヴォネガット・ジュニア,池澤夏樹出版社/メーカー: 白水社発売日: 2000メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る われわれはなにかのふりをするとそのものになってしまう、だからなにのふりをするかは慎…

フィギュアスケートのジャンプの識別法

フィギュアスケートの魔力 (文春新書)作者: 梅田香子,今川知子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2004/11メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (7件) を見る情報源・確認手段は、上記の本。ただ、自分には若干わかりにくいところがあったので、…

情報機関(インテリジェンス)

インテリジェンスの歴史―水晶玉を覗こうとする者たち作者: 北岡元出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会発売日: 2006/09/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (4件) を見るインテリジェンス業務(情報機関)の歴史について。もと…